愛して。【完】





しばらくして、一番最初に我に返ったらしい颯があたしに笑い掛けながら聞く。




「真梨ちゃんって…呼んでいいかな?俺のことは颯って呼んでくれてかまわないし」


「あ、うん」




初めてまともに話した颯に、少しどもりながらも応える。




「ところでさ、今日の夕飯何が良い?大体は食いに行く所決まってるんだけどさ、真梨ちゃんは行きたいところある?」


「あ~…、あたし、夕飯はいらないや。いつもあんまり食べないし」




あたしがそう言った瞬間、みんな一気に覚醒する。




「は?!夕飯食べねぇってどういうことだよ!?そんなんだからそんなにほせぇんじゃん!!」




鷹樹、煩い。


いつの間にあたしのこと真梨って呼んでんの。


つか、別にそこまで細く…細いか。




「真梨、そんなんじゃいつか死んじゃうよ?!」




隼、そんな簡単に人は死なないんだよ。


現にあたしは、一日一食でこの数年生きて来たし。





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