大好きなキミへ
「まいるー。まいるってば。」

愛梨に何度も名前を呼ばれて、めんどくさいと思いながらも振り返る。

「これ見てー。」

愛梨が見せてきたのは、赤い水玉のお弁当箱だった。

「見てー、可愛くない?」

こんなの見せるためにいちいち呼ぶなよ、と思うけど、そんなこと言えるわけない。

「うん、そうだねー。」

とりあえず、当たり障りのない返事をしておく。

こんなタイプの子たちと、どうしてあたしは一緒にいるんだろう。

楽しいと感じたこともないし。

なんだかんだ言って、あたしって、クラスで一番の『偽善者』なのかもしれない―――――。


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