大好きなキミへ
「あ、ゴメンなさい。」

ぶつかった誰かに謝る。

でも、その人は何も言わずに行ってしまった。

感じ悪いなあ。

そう思って、すれ違った相手を見ると・・・・、

それが、あたしの本当の始まりだったんだ。

「相原由良!」

あたしは思わず口に出してしまった。

その『名前』を。

「はい?」

相原さんは、あたしの顔を真正面から見た。

初めてだ。

相原さんの目があたしをとらえたのは。

相原さんは、周りすべてを見回せているようだけど、実は何も見ていないようでもある。

不思議な人だ。

周りの人はいろいろ言ってるけど、あたしはこの雰囲気がきらいじゃない。

「あ、いや。ゴメン。 間違えてよんじゃった。」

取り繕うような、いつも友達に向けている薄っぺらい笑顔を向ける。

「ふうん。あそ。」

興味なさそうに言うと、相原さんはふとあたしの顔をまじまじと見た。

「あんたさぁ。」

相原さんが言う。

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