メガネ君のヒミツ。
「もう、関わらないで」
そう言って帰ろうとしたあたしの手首を…
涼が強く掴んだ。
「いたっ…」
「何で泣きそうな顔してんだよ」
俯いてるあたしの頭の上から、低い声がした。
もう…いやだ。
考えるの、疲れたよ。
「離して…!!」
涼の手を力いっぱい振り払った。
油断していたその手は、あたしから簡単に離れた。
そのまま教室を飛び出して、とにかく走った。
後ろを振り返ったけど、そこには誰の姿もなくて。
自分の影が、ただぼんやり映っていただけだった。