静流の恋
静流はどこにいるのだろう。
面と向かって、自分でも痛いほどによく自覚している言葉を浴びせられて。
その心を抱えて。
どこにも行くあてなんて無いのに。
だれにも見られてはいけないからだを引きずって。
ひとりぼっちで。
かわいそうな静流。
ああ、ごめん。
ぼくはなにひとつ君の苦しみをわかっていなかった。
君の孤独に気づいてあげられなかった。
一日中、誰もいない家の中で、ぼくの帰りを待つ静流。
日に日に腐ってゆく自分のからだを眺める静流。
いったいどんな気持ちで静流は日々をすごしていたんだろう。
いまになって、ぼくはようやくあのパーティーの意味が分かった。
今日もなんとかぼくと一緒にいられたという、記念。
静流の、痛いほどに切実な想いがたくさん詰まった、大切な記念日。
ああ、ぼくはなんて馬鹿なんだ。

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