静流の恋
パーティー
それでもぼくたちは、そんな不安はおくびにも出さず、毎日を楽しく過ごした。
つい夜中にふたり大声で笑ってしまい、不審に思ってやってきた母親にしどろもどろでごまかしたこともあった。
リビングで静流とじゃれ合っているところに、仕事を早くに切り上げた父親が帰ってきて危機一髪! なんてこともあった。
押入れの奥深くに厳重に隠していたはずのぼくの秘蔵のコレクションを静流に見つけられて軽く引かれたりもしたし、静流の着替えや下着なんかを買いに行かされて顔から火が出るような思いをしたこともあった。
すべてが、楽しく過ぎていった。

ぼくはおろかにも、それが永遠だと思っていた。

いや、そう思おうとしたんだ。


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