あたし達しんゆう



「ちょっと、いい?」



口ごもっていたその人が発した言葉にわざと面倒くさそうに頷く。



それから『じゃあ付いて来てもらえる?』と言われ、着いた場所は裏庭。



「いきなりだけど…幹本さんのこと、好きなんだ。もしよかったら付き合ってください。」



教室で声をかけられた時は挙動不審だった彼だけど、今度はハッキリとした口調で言った。



『普段ナヨナヨしてても告白する時はちゃんと言うんだ…』と冷静に分析しているあたし。



ちなみにもちろん返事は決まっている。



「…ごめん。」



付き合うとか面倒くさい。



今まで何人かとは付き合ったことがあるけど、『嬉しい』とか『楽しい』とか感じたことはなかった。



感じたのは『面倒くさい』。



それだけ。


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