星に願いを メイドにカチューシャを
「お疲れさまです〜」
「あー!お疲れさま〜♪」
深夜0時。
自分でかけた魔法が解かれる時間だ。
私服に着替えたメイド――女の子たちは、その日のうちにお給料をもらって帰る。
メイドでいる間は、プライベートのことを考えている余裕も時間もない。だから、1日の稼ぎがいくらになるかなんて、予想することもない。
自分の頑張りと成果――何を持って成果とするかは別として――に直面するのは、仕事を終えたこの時が初めてとなる。
少なくとも、私――すなおの場合はそうだった。
もっとも、魔法が解かれた今は、“すなお”じゃないのかもしれないけど。
それでも、メイドさんや執事さんと接する、このお屋敷を出るまでは、“すなお”なのだと思っている。
遠足は家に着くまでが遠足です、と、ちょっぴり似ているかもしれない。……ほんのちょっとだけね。