星に願いを メイドにカチューシャを

「すなおちゃん、お疲れさま。また明日ね」


執事さん――一般的には、男性従業員、男性スタッフ、ボーイと呼ばれる――が、お屋敷の外を誰も歩いていないか確認してくれた後、労いの言葉と共に、小声で送り出してくれる。

お屋敷を出ると、もうメイドの“すなお”は、そこにはいない。

夢の世界と現実の境界線を1歩またぐと、私はただの大学4年生“清村 直加(きよむら なおか)”に戻る。

魔法が解ける瞬間は、誰にも見られてはならない。

執事さんの目の届かないところで、トラブルになるのを防ぐためだ。




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