レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
自分の書いた歌詞を真剣に読まれるのは、いつもちょっと嬉しくて、ちょっとくすぐったいような気持ちだ。
チアちゃんの横顔は、とても真剣だった。
「…すごいなぁ。いいなぁ、ケイくん。才能があって」
チアちゃんのいいところは、変に嫉妬したり自虐的になるんじゃなくて、ちゃんと人を認められることだと思う。
1つ下なのに、そういうところは大人だなと思って尊敬してしまう。
…僕には、あんまりできない。
――しょーごのことは素直に尊敬する。
自分は自分で、人は人だと思っている。
だけどいざ、しょーごのほうがドラマやバラエティーに対しても長けていて、世の中にはしょーごファンのほうが多いことを全く気にしていないかと言われれば、嘘になってしまう。
…だから、100回もオーディションに落ちても、こんなふうに笑顔でいられるチアちゃんが、
僕には眩しい。
「あたしの歌詞なんて、全然だめですね。何が違うんだろ~」
「そんなことない。もしかしたら、書き方が少し違うだけかもしれないよ」
口をとがらせながらぶつぶつと呟く彼女に、僕はそう笑いかけた。