レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「書き方?」
そう首を捻る。
確かに、わかりにくい。
「え~っと…」
どう説明したらいいんだろう。
僕は頭を回転させた。
…詩を書くことは、呼吸をするみたいにしてきたことだから。
それを人に伝えるのは難しい。
「チアちゃんはさ、歌詞を描くとき、自分の伝えたいことを描いてない?」
「そ、それはもちろん。 …ふつう、そうじゃないんですか?」
「普通がどうかはわからないけど、僕は逆なんだ」
チアちゃんに伝わるように、ゆっくりと、誠実に話す。
「聴く人が、聴きたいことを描くんだよ。聴く人を、心地よくできるように。
こんなこと言われたい、っていうの、誰にでもあるでしょ」
チアちゃんが、目を丸くした。
伝わったかな。
そう心配だったけど、
――次の瞬間、チアちゃんが僕の手を握り締めた。
「…っ!」
柄にもなく、心臓が跳ね上がる。
「すごいよ、ケイくん!さすが!」
チアちゃんはキラキラした目で、興奮した口調で言った。
…直視するには、あまりにも眩しいような笑顔だった。
「…ケイ。おい、聞いてんのか?」
しょーごに名前を呼ばれて、はっと我に返る。
「あ、ごめん。聞いてなかった」
「なんだよ。…携帯の充電器、持ってる?」