レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
――「なぁ、なんであんな奴の言いなりになってんの?」
……え。
黒い革の鞄を持って、アキトの横を歩いていたら。
ふいに囁くように、そんなことを言われた。
見上げると、しょーごさんとはまた違う、切れ長の青みがかったきれいな瞳があたしを見据えていた。
「え…いや、あの…」
口ごもると、アキトは美しい顔をしかめて言った。
「アンタ、一応プロデューサーだろ?」
「…ま、まぁ、本当に"一応"ですけど…」
「あいつ…しょーごだっけ。あいつのお付きっていうか、雑用係みたいになってんじゃん」
少し前を、林田さんが歩く。
後ろにはしょーごさんたち。
あたしは少し声を潜めて、返した。
「大丈夫ですよ。やらされてるなんて思ってないので。お給料だっていただいてるし」
「他にバイトは?」
「一応してますけど…あっ」
そう答えた瞬間、ポケットの中の携帯が振動した。
急いで画面を開くと、「着信 美沙子」の文字。
――なんちゅうタイミングだ。