レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
もはや、携帯のことなんかどうでも良かった。
――ついに、頼みの綱はこの仕事だけになってしまった。
…確かに、無理もないよね。と自分でも思う。
最近全然シフト入れてなかったし。
それにしても、すっごく不安になる。
お給料もそれなりで、まかないも出たし、待遇のいいバイトだったから余計に。
「チアさんのバイトって、カフェですよね」
「そう…」
ワタルの言葉に頷きながら、アキトに返してもらった携帯をぎゅっと握りしめた。
「まぁ、とりあえず心配しなくても。仕事はちゃんとあるんだし」
アキトのフォローに、力なく微笑みを返す。
でも…
…思っていたことは、あたしの代わりに、毒舌ギタリストが言ってのけた。
「いつクビになってもおかしくない仕事だけどな。
そもそも掛け持ちするほど器用でもないだろ」
イヤホンを耳につけたまま、さらっとそう言い放った。
しょーごさんに対して、アキトが冷たい目を向ける。
「会った時から思ってたんだけどな、俺はアンタの高慢な態度が嫌いだ」
アキトが低く細い声で、冷静に、そう言った。
あたしを挟んで、二人が少し近づく。