レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
ケイくんが、目を丸くしてこっちを見た。
そして数秒間の沈黙のあと、
「…ははっ」
思わずどきっとするような、無邪気な笑みを見せる。
珍しい、屈託のない笑顔。
「な、なんですか?」
「なになに?」
あたしにつられて、ワタルも興味深そうにケイくんを見つめる。
ケイくんは目元を拭って、「ちょっとね」と言ってから、またいつもの穏やかな冷静さを取り戻した。
「そっか。全然わかってないんだね」
「え、何がですか?」
「まぁ、いいよ。それより急がないと僕らも怒られる」
あたしとしては全然良くないのだけど、ケイくんは軽く手を振って、少し歩くスピードを速めた。