レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
なんだか、ここ数日で、自分の中でいろいろと変化が起こりすぎて。
状況についていけない。
気持ちについていけない。
…あたしは、なんでここにいるんだろう。って。
役に立てているという実感もないし、
いまだにすべての"実感"がない。
「そうね~… やっぱり、キラキラするものが好きだからかなぁ」
彩花さんは優しく笑って、壁に背中を預けた。
「あ、キラキラするものって、宝石とかそういうんじゃないよ。なんかこう、キラキラする人が好きなのよね。
そりゃ人間、自分が輝けたらそれが一番いいわよ。でもね、あたしはそーゆータイプじゃないからさ。輝く人をお手伝いするほうが向いてんの」
なんてね、とはにかんで、彩花さんは「それに」と付け足した。
「考えようによっちゃ、ものすっごいやりがいあると思わない?」
「え?」
「あたしたちがいなきゃ、あの子たちは存在しない。世の中のブームが変わるのよ」
彩花さんはきっぱりそう言って、右手でステージを示した。
――ちょうど、チューニングを始めているところだった。
「まぁ、あたしは送り迎えやらスケジュール管理やらで、大それたことはしてないけど」