レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
本当は、迷った。
今のこの瞬間だって、迷ってる。
…でも、決めたから。
「なんだこれ」
しょーごさんは怪訝そうな顔をして、封筒を受けとった。
器用な手つきで封を切る。
そして中の紙を取り出すと、その目が僅かに細くなった。
「…くだらないイタズラだな」
その言葉に、ごくっと唾を呑み込む。
「イタズラ…だったらいいんですけども」
あたしは、ソファーの上に正座して、毒舌王子様と真っ正面から向き合った。
静かな朝の時間。
いつもの事務所とは違って見える、不思議な空間だった。
「もしイタズラじゃなかったら、大変なことになるから」
ぎゅっと拳を握りしめた。
「しょーごさんにとって大事な時間が潰れちゃうかもしれないから」
…それに、
「あたしにとっても…大事な、時間が」