レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
ぐっと顔を上げて、しょーごさんを見た。
その表情は、いつもの毒舌王子様ではなかった。
「…これは、他に誰が知ってんの」
しょーごさんは紙に目を落としながら、左手を顎の下に当てて、聞いてきた。
「…あたしと、林田さんと、しょーごさんだけ」
「おっさんはともかく、なんで俺に? なんで、俺だけに」
「しょーごさんだけは、信じてるから」
…ここで、また沈黙。
目が合う。
不機嫌そうな表情をされても、茶髪にピアスでも、もうこの人に動じなくなってきた。
「…だから、なんでだよ?」
「まぁ、普通に考えれば。だってしょーごさんは今が一番いいときなのに、こんなことしたって、なんのメリットもないよね」
あたしはしょーごさんの手から例の紙を取って、二つ織りにして封筒に戻した。
「ふーん?」
しょーごさんは長い脚を組み直すと、ソファーに大きくもたれかかった。
天井をあおいで、からかうように言った。