レジェンドは夢のあとに【8/18完結】


ぐっと顔を上げて、しょーごさんを見た。
その表情は、いつもの毒舌王子様ではなかった。




「…これは、他に誰が知ってんの」


しょーごさんは紙に目を落としながら、左手を顎の下に当てて、聞いてきた。



「…あたしと、林田さんと、しょーごさんだけ」


「おっさんはともかく、なんで俺に? なんで、俺だけに」


「しょーごさんだけは、信じてるから」



…ここで、また沈黙。
目が合う。

不機嫌そうな表情をされても、茶髪にピアスでも、もうこの人に動じなくなってきた。





「…だから、なんでだよ?」


「まぁ、普通に考えれば。だってしょーごさんは今が一番いいときなのに、こんなことしたって、なんのメリットもないよね」



あたしはしょーごさんの手から例の紙を取って、二つ織りにして封筒に戻した。



「ふーん?」


しょーごさんは長い脚を組み直すと、ソファーに大きくもたれかかった。

天井をあおいで、からかうように言った。







< 162 / 226 >

この作品をシェア

pagetop