レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
必死に足をばたつかせて、抵抗する。
「い、いやっ! ちょっと、何するのよっ!」
「…別にあのおっさんが、ポジティブ素人女を雑用係にしようが俺は構わない。俺を見抜いたのがお前だろうが他の誰だろうが構わないし、新しいバンドの話だって100歩譲って許した。
でもな、この事務所内の人間を疑うのだけは許さない」
しょーごさんはいつになく冷たい目で、あたしを見下ろしてきた。
その顔が近付く。
ぎゅっと目を閉じて、ぶんぶんと顔を横に振った。
「しょーごさんは…なんも、わかってない!」
「なにがだよ」
「あたしが…」
覚悟を決めて、拳をぎゅっと握る。
…そして、
「……つっ!」
―――ゴッ!!
痣にならない程度に、鳩尾を殴った。
しょーごさんがあたしの体から離れた隙に、ソファーから素早く起き上がる。
「あたしがあなたよりも、見る目があるってことを、よ!」