レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「…え…」
いつもとは違った態度、表情、すべてに面食らう。
なんだか、"角"が取れた感じ。
「…なんだよ、早くしろ」
そうぶっきらぼうに言い放つけれど、前ほど不機嫌な表情じゃなかった。
――ほんの少しだけ、距離が、近づいたのかな。
「チアの素晴らしい"選眼"によれば、誰が怪しいんだ?」
「…そ、そんな嫌味たっぷりに言わなくても」
口を尖らせると、しょーごさんはふっと笑って腕を組んだ。
こういうところはやっぱり変わっていない。
「メールにはなんて書いてあったんだ?」
「火の海に包まれて歌え。…って。差出人がsinger killerになってた」
あたしはそう答えて、ついでにパソコンを取ってこようとした。
そのときだった。
「…ちょっと、待て」
しょーごさんが眉をひそめて、あたしを見上げた。
何度も憧れたあの目が、あたしをしっかりと見据える。
しょーごさんはあくまで冷静に、言った。
「それって、つまり、そいつの目的は俺ってことだよな?」