レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「お手上げだろ、そんな奴。警察に任せるのが一番いい。そいつのアドレスとか、メールのログを追跡してもらうしかない。
こんな予告をしてる時点で業務妨害罪だし、充分罪にはなる」
「…そうなんだけど」
そう言うとは思ったし、その考えは正しい。
でもあたしは、恐る恐る口にした。
「もし、その、しょーごさんに近い人が犯人だとすれば、だよ…?
…今ならまだ、誰も傷つかずに、止めることができるかもしれないじゃない…?」
――林田さんは、気づいていたんじゃないのかな。
なんて思う。
みんなが思ってるよりも何倍も、あの人は鋭い。
だから、あたしだけに打ち明けた。
あたしに"任せる"と言った。
警察に任せて、大ごとにすることはなかったのも。
…あの人は、"見抜く"人だからだ。
「チア、お前…」
しょーごさんが呆れた顔をして、首を横に振った。
「…ポジティブにもほどがある」
もう、むしろ褒め言葉だと思えるようになってきた。
あたしは苦笑いして、しょーごさんの前にもう一度座った。
「もう一回だけ、あたしのポジティブさを信じてもらえない?」