レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
――しょーごさんの挑戦的な目が、あたしを見る。
「オーディション100回落ちた女の?」
「はい」
「全然向いてないのに、アイドル目指してた女の?」
「そうですよ?」
「この俺様に、お前を信じろと?」
「そうです」
「…なんで?」
しょーごさんは口元をゆるめて、意地悪く聞いてきた。
あたしも怯まずに、きっぱりと返す。
「あたしが、しょーごさんを信じてるから」
「…」
「しょーごさんが、しょーごさんの音楽が、好きでたまらないから」
…あれ、なんだろう。
言葉が次々と出てくるのに、恥ずかしい。
眼鏡かけてるからくっきりと、目の前のしょーごさんの顔が見えてしまう。
「…っ」
あたしは邪魔な眼鏡を外して、少しぼやけた景色の中で続けた。
…このほうが、気が大きくなってなんでも言えちゃう。