レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「認めるの悔しいなんて思わなくなるぐらい、しょーごさんたちの音楽はすごいの!もっともっといろんな人に知ってもらいたいっていう衝動を止められなくなっちゃうぐらい。
あたしは惨敗だったし才能もないけど、しょーごさんたちにはこんなところで終わってほしくない。もっともっと進んでほしい。
それに、あたしはしょーごさんを信じてるし、自分のことも信じたいの。
…あたしなんてだめだめなとこばっかりだけど、しょーごさんたちをすごいって思った目だけは正しいって、自分を信じたい」
あぁ、だめだ。
全然まとまってないし、何言ってんのかわからない。
なのに、感情に任せて喋るから、なんだか目の奥から温かいものが零れてくる。
ますます周りの景色がゆがんで、見えなくなってくる。
「…め、眼鏡」
やっぱり眼鏡をかけようと、したときだった。
「……っ?」
――眼鏡をかけようとした手を抑えられて。
それだけじゃない。
…温かいものが、唇に重なった。
「ん…っ」
初めての感覚に、息がうまくできない。
抵抗することも忘れて、体が動かなかった。
肩に置かれた手がそっと離れると同時に、唇も離れる。
目をゆっくり開くと、ぼやけた視界の中にもはっきりと、しょーごさんの顔が見えた。