レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「え!?あ、いやそのあの」
とっさのことにあたふたして、明らかに動揺するあたしをよそに。
しょーごさんは眉一つ動かさず、「今来たんだよ」と言った。
「迎えに行ったのに!よく来れたわね。しかもこの時間オフでしょ」
「綾乃の撮影ついでに、乗っけてもらったんだよ。本番近いから家いても落ち着かねー」
「へぇ、あんたにもそんな緊張あるのね」
…さすが、ドラマでも演技派扱いされているだけある。
全然動じない。
彩花さんはそれ以上何も追及せずに、鼻歌を歌いながら大量の資料を整理していく。
「それよりも彩花、ドアはもっと上品に開けろよ。そんなんだから嫁の貰い手が現れないんだ、いつまでたっても」
しょーごさんには彩花さんにも容赦ない。
「余計なお世話よ!あんたみたいなののマネージャーしてたらね、嫌でもガサツになってくわよ」
さすが彩花さんは、慣れているだけある。
大量のファイルの資料を整理していく作業…なかなか大変そうだった。
「手伝いますよ」
「あら、悪いわね。ありがとう」
プロフィール写真やら雑誌の記事やら、とにかくいろんなものがはちきれんばかりに挟み込まれている。
あたしは1冊のファイルを「これやりますね」と受け取った。
「もう、いよいよ本番ね~…」
「そうですね」
彩花さんとそんな会話をしながら、ファイルを日付順に整理していく。
しょーごさん含め、事務所に所属しているタレントやモデルの写真も何枚かあった。