レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「おつかれーしょん」
――10月24日、東浦アリーナの前に車が着いた。
車を降りるときに林田さんに後ろから肩を叩かれて、振り向く。
「あ、お疲れ様です」
「いよいよ、雑用係兼プロデューサーの目が試される瞬間が来たな」
今は、午前7時。
あたしたちは裏口から回るけれど、正面にはすでにファンがいるらしい。
…開始は16時からなのに。
林田さんはにやりとあのハードボイルドな笑みを浮かべて、指を4本立てて見せた。
「知ってるか?チア、4万だ」
「…?なにがですか」
首を傾げるあたしに、林田さんはじれったそうに言った。
「今回の客数だよ」
「…!!は!? よ、4万!??」
思わず大声が出て、今度はケイくんが困ったように「静かに」の張り紙を指差した。