レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「チア」
しょーごさんが、あたしの名前を呼んだ。
「…はい」
「お前、アキトと話出来るか?」
「え」
思いも寄らなかったことを言われて、あたしは目を丸くした。
そんな反応を予想してたかのように、しょーごさんは「だから」ともう一度繰り返した。
「アキトと、話できる?」
「…で、できなくはないけど…」
「…アイツ、お前には話してたんだろ。過去のことも」
話す、っていうほどではないけど。
――スカウトした直後の車の中での会話を、思い出す。
普段は物静かで、他のメンバーともあまりべらべら話さないアキト。
新人というのもあって、レッスンが忙しいのもあるけど。
…確かに、後にも先にも、あのときが一番会話していたような気がする。
「正直言うと、二人きりにはさせたくないけど」
しょーごさんはさらっとそう言った。