レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
同い年とは思えないほど、顔もファッションも大人っぽい。
…何から、切り出せば…。
座ることも忘れて、ひたすら棒立ちでクロスのネックレスを見つめている女がいたら、誰だって不審に思う。
「…熱でも、あんの?」
アキトが怪訝そうな顔をして立ち上がった。
あたしは慌てて、手をぶんぶんと横に振る。
「あっ、いや、違う違う!」
「…じっとしてて」
アキトは端正な顔をしかめて、あたしに近づいてきた。
すっ、と腕を伸ばす。
…額に、暖かな感触。
条件反射で、思わず目を閉じた。
「…熱は、ないようだな」
目を開けた。
切れ長の、でも透き通るようなまっすぐな瞳が、あたしを見つめて笑った。