レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
どうしてそんな顔をするのかは、わからない。
「…アキ…」
「アンタのことは、だな。危なっかしくてトロくて単純で、あの高慢ギタリストに散々言われてもめげない、俺からすれば馬鹿馬鹿しいぐらいポジティブな女だと思ってるよ」
アキトは低い声でそう言うと、あたしの耳元に唇を寄せた。
…息がかかって、ぞわっとした感触が全身に走る。
「…っ!いやっ…」
「なんでアンタがあいつになついてるのか、未だに理解できないね」
「は、離して…」
「ヤダ」
アキトはあたしを抱きすくめたまま、耳元に当てていた唇をそっと首筋に埋めた。
…ビクッ!と体が反応する。
「や…っ!」
「俺だったら、あんな高慢なことは言わないけどね。もっと優しくする」
アキトは唇を離して、もう一度耳元で囁いた。