レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「散々聞かれたから、最後に俺から聞く。 アンタの気持ちは、どうなんだ?」
クラクラするような甘い囁き。
――だめだ、だめ。
…あたしが、しっかりしなきゃ…。
うまく回らない頭を必死に、活性化させる。
ぎゅっと目を閉じて、気持ちを少しでも落ち着かせる。
そうすると、
――心の奥底から、小さな音楽が流れてくる。
「…あたしにとっては、
アキトも、しょーごさんも、みんな同じ。
皆の音楽が好き。
…だから、誰のものでもないよ」
あたしはアキトの腕から逃れた。
…ホントを言えば、しょーごさんが、好き。
ファンとしてじゃなくて、たぶんすべてが、あたしの心のど真ん中にハマってくるんだと思う。
…それでも今は、
「あたしを手に入れたいと思うんだったら、色仕掛けじゃなくて音楽で勝負して」
そんなことをきっぱりと言い切ったあたしに、アキトが目を丸くした。