レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
――3年前のことだった。
「あのねーあたし、前から思ってたんだけどさ」
ハキハキとした、程よい高さの声が響いた。
二人組の少女のうち片方が話している。
某私立の女子中学校のセーラー服をちらりと見ると、林田は目を閉じた。
まぁ、あまり賢いところではない。
夜20時の電車。
仕事疲れによる眠気が一気に襲ってきて、座席にもたれかかった。
少し離れた席の女子中学生2人は相変わらず話を続けている。
聴く気はさらさらなかったが、仕事上どうしても耳が敏感だった。
「ガムのCM知ってる?あの、"噛めば噛むほど美味しくなる〜"ってやつ」
「うんうん、知ってる」
「あれに出てる男の子三人組。あたしたちと同い年ぐらいの。…あの、真ん中の男の子やばいと思う」
「え、そんなに見てない。三人とも大して変わらないと思うけど」
「いやいや」
自然と目を開けた。
もう一度目線を遣ると、ショートカットの幼い顔をしたほうの少女は自信ありげな目で言い切った。