レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
…いつも思うけど、この人、絶対にあたしを女の子だと思ってない。
でも驚くことに助け船を出してくれたのは、ケイくんでも彩花さんでもなかった。
「わーったから、社長、チアを離せ」
しょーごさんがあの不機嫌そうな顔でそう言うと、あたしはあっさり解放された。
それでもやっぱり、林田さんはどこ吹く風。
「満員だからな、ファンの熱気も半端ない。充分に盛り上げてやれ」
「頑張ってね!もちろん、あとから登場するからって新メン二人も気を抜くんじゃないわよ」
林田さんの後ろからひょっこりと顔を出した彩花さんも、そう笑った。
しょーごさんが「わかったわかった」と椅子から立ち上がって、全員を振り向いた。
…そして、まずはケイくんに向かってその長い腕を伸ばす。
「…何?叩くの?」
ケイくんの反応に、周囲の笑いがこぼれる。
しょーごさんは呆れた顔をした。
「バカ。いつものあれだよ」
「わかってるよ。冗談だって」
ケイくんはいたずらっぽい目を上げて、しょーごさんとハイタッチを交わした。
「…よろしく」