レジェンドは夢のあとに【8/18完結】



ずっと迷宮入りしていた頭の中。

…ふと、思い出したことがあった。






――ああ。

どうして、あたしは、"あの人"を全く疑わなかったんだろう…。





「…チ、チアちゃん!?」

「すみません。ちょっとだけっ」




labylinthの間奏が流れる中、あたしは席を立って、今来たドアに向かって戻っていった。


人ごみをかき分けて、警備員に不審がられながらドアを開ける。



「…ちょっと、君」

「あの、スタッフです!通してください」


いかつい警備員さんにスタッフカードを見せて、なんとかステージから出る。







―――皆さんこんにちは、labylinthです!
今日はお会いできて嬉しいです!




楽屋や控室に続く廊下でも、しょーごさんの声とファンの歓声が聞こえる。




あたしは急いで来た道を戻って、楽屋を探した。
いくつも同じような部屋があるから、わからない。

控室にはちゃんと張り紙がしてあったけど、音出しもできるようになってるほうの楽屋には何も書いてなかった。



…えっと、ここで合ってたっけ。





「…チアちゃん?」


ノックしようとしたときに後ろから声を掛けられて、びくっとする。










< 207 / 226 >

この作品をシェア

pagetop