レジェンドは夢のあとに【8/18完結】


車から降りると、そこにはビルがあった。
さっきオーディションを受けたところより、ちょっと古めのビル。

林田さんに続いてエレベーターに乗る。
7階のボタンが押された。


「ブルーバードって…」

「知っているかね」

「あ、当たり前ですよ!めったに募集しないから、オーディションは受けていないけど…」

「受けなくて正解だ」

「なっ…!」


――チーン。

かすかな振動と共に、エレベーターが止まった。

時刻は夜20時だから外はそこそこ暗いけど、事務所は明るい。
そして思っていたより狭い。

へっぴり腰で林田さんのあとに着いていく。



「今は不在のようだな」


事務所に足を踏み入れると、電気は点いているものの誰もいなかった。

あちこちにいろんなものが置いてあって、少し散らかっている。


それでもポスターが貼ってあったりするのを見ると、あぁ芸能事務所なんだと実感する。


「まぁ、ソファーに座って楽にして」

「…あ!」


事務所内を見回していると、一枚のポスターに目が止まった。


「これ…」

「…あぁ。今売り出し中の2人だ」


あたしは夢中になって叫んだ。


「labyrinth!」





< 21 / 226 >

この作品をシェア

pagetop