レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
車から降りると、そこにはビルがあった。
さっきオーディションを受けたところより、ちょっと古めのビル。
林田さんに続いてエレベーターに乗る。
7階のボタンが押された。
「ブルーバードって…」
「知っているかね」
「あ、当たり前ですよ!めったに募集しないから、オーディションは受けていないけど…」
「受けなくて正解だ」
「なっ…!」
――チーン。
かすかな振動と共に、エレベーターが止まった。
時刻は夜20時だから外はそこそこ暗いけど、事務所は明るい。
そして思っていたより狭い。
へっぴり腰で林田さんのあとに着いていく。
「今は不在のようだな」
事務所に足を踏み入れると、電気は点いているものの誰もいなかった。
あちこちにいろんなものが置いてあって、少し散らかっている。
それでもポスターが貼ってあったりするのを見ると、あぁ芸能事務所なんだと実感する。
「まぁ、ソファーに座って楽にして」
「…あ!」
事務所内を見回していると、一枚のポスターに目が止まった。
「これ…」
「…あぁ。今売り出し中の2人だ」
あたしは夢中になって叫んだ。
「labyrinth!」