レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
――――バンッ!!!!
「チア!」
勢いよくドアが開くとともに、そこにあるはずのない声が聞こえた。
…あれ、あたし、もしかしたらもう刺されて死んだ?
これは幻の声?
そんなぼんやりとした頭の中、今度ははっきりと聞こえた。
「チア!」
――しょーごさんだ。
はっと目を開けると、そこにはドアの鍵を持ったワタルとしょーごさんが立っていた。
しょーごさんは息を切らしながらも、ライブ時の服装のまま。
間違いない。本人だ。
「…なん、で…」
ワタルも驚いたように、あたしから離れて立ち尽くす。
その隙にアキトがナイフを奪い取った。
そして力が抜けて座り込んだあたしに駆け寄る。
「チア…悪い。この部屋の鍵を見つけるのが遅れた」
アキトがタオルをそっと首に当ててくれた。
「痛いよな。ごめん…」
「ううん。かすり傷だし大丈夫」
あたしはアキトを、見た。
なんだか泣きそうだった。
「疑って…ごめんなさい」
「なんのことかわからないな」