レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
そして机の上に置いたポスターを指先で弾くと、あたしの前まで滑らせた。
「途中で挫けるかと思った。本気かと疑った。でもな、チアの目は本気だった。
見てみろ。
今、若い奴らの間で、こいつの顔と歌声を知らない者はいない」
全身が震えるようだった。
さっきの電気ショックとは違う。
――感動?感慨?
よくわからない。
だけど。
――この人は、あたしを知っていたんだ。
ごくん、と唾を飲み込むと、深呼吸してからゆっくりと切り出した。
「…い、今までにもあった。…この人は売れる、あたしならこの人を売り出すって感じたこと」
「…そうか」
「でも」
声が詰まった。
ポスターに目を落としてから、ぎゅっと目を閉じて、首を軽く振る。
「売れなかった人もいる。誰もその人を拾わなかったのか、本当にあたしの見る目が違ってたのかはわからない。でも…しょーごさんのことはマグレかもしれない。あとから言ったって誰も信じないのはわかってたから言わなかったけど、でも…」
「マグレじゃねぇよバカヤロ」
ぱっと顔を上げると、林田さんに額を弾かれた。
「いった!」
「俺の目をバカにするんじゃない」
「だってぇー…」