レジェンドは夢のあとに【8/18完結】


口を尖らせるあたしに向かって、林田さんは不敵に笑った。

50歳を超えてると思ってたけど、意外と若いのかもしれない。

そう思わせるぐらいにハードボイルドな笑みだった。



「だってもくそもねぇよ。俺を信じろ」

「はぁ…」

「お前には才能があるんだ。人を見抜く、才能がな」



才能。

ずっと欲しかった2文字、だけど…




なんとなく複雑な顔をするあたしに、林田さんは「まぁ無理もないわな」と頷いた。


「チアが欲しかった才能じゃないもんな」

「…はい」

「しかし俺は、あるものはとことん利用する主義だ」

「…はい?」

「プロデューサーになれ。…というと聞こえはいいが、実際は俺がプロデューサーだからお前は雑用係だ」


林田さんがそう言ったときに、ドアの開く気配がした。

言葉の意味がわからなくて口をパクパクさせるあたしを無視したまま、林田さんはドアに歩み寄った。


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