レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「まず、しょーご。聞け」
「おお」
「こいつはチア。優秀な選眼を持ってて、お前が売れることを見抜いて俺に教えたのはチアだ。従って、例のバンドの話はこいつに任せる」
「…はあ!?」
手短くあっさりと説明すると、林田さんは「以上」と言って今度はあたしを振り向いた。
しょーごさん、全然納得してませんけど。
「次に、チア」
「…はい」
「お前はlabyrinthを改良して、この2人に仲間を増やして4人か5人程度のバンドにして欲しい。その人選はお前の眼に任せる」
「…はあ!?」
しょーごさんと同じ反応をしたあたしもあっさり無視して、林田さんは「以上」と手を叩いた。
「説明は終わりだ」
「ちょい待て、全然説明になってないんだよオッサン!」
噛みつくように怒鳴ったしょーごさんに、林田さんは腕組みして涼しい顔を向けた。
「なんだ、説明が理解出来ないのか。回りの悪い頭だな」
「なっ…」
「ケイは理解してんだろ」
その言葉に、しょーごさんがケイくんを振り向いた。
あたしもつられてそっちに目を向ける。
「な?」と林田さんはケイくんに再び振った。
ケイくんはこんな話を聞いても全く変わらない冷静な顔のまま、頷いた。
「まぁね。要するにチアさんが僕らのバンドをプロデュースしてくれるってことですよね」