レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「バンド名も考えろ。labyrinthはいったん解散させて、新しいのを作るんだから」
「え、改名するんですか?」
驚いてそう言うと、しょーごさんがこくんと頷いた。
「そうだよ」
反応してくれたことが少しだけ嬉しい。
「まぁ適当につけちゃった名前だしね。最初に作った曲のタイトルだし」
ケイくんが苦笑しながら、しょーごさんに笑いかけた。
2人とも、今の名前を捨てることに抵抗はないようだった。
「まぁ、バンドが迷宮入りしても困るからな」
しょーごさんが気の利いた冗談を言って、あたしに「ほれ」と一冊の赤いファイルを投げかけた。
林田さんのデスクに置いてあったものだった。
そこそこに重いそのファイルを受け取って、首を捻ると、しょーごさんが「バンドの候補者」とだけ短く言った。
そして腕時計に目を遣ると、ソファーに投げ出してあったカバンを持った。
「俺は帰るぞ、社長。綾乃のマンション」
「おつかれーしょん」