レジェンドは夢のあとに【8/18完結】


まぁ何か事情があるんだろうけど。


「よくわからない人ですね…しょーごさんって。TVで見る感じでは、イケメンだけどどこにでもいる親しみやすい男の子って感じなのに」


あたしがそう呟くように言うと、林田さんが立ち上がって伸びをしながら答えた。


「あいつは天才だからな。特に音楽…天才的なメロディーメーカーで、ギタリストだ。音楽界の大御所も最近は認めてきてる」


天才。
音楽の才能ゼロのあたしとは違う、まさにアイドルになるために生まれてきたような天才。

確かに、今まで会った中にはいないタイプだ。



「バカと天才の考えてることは分からんもんよ。

でね、フツーの、考えてることもありきたりで何もかも読めるような人間は、この世界には必要ないわけよ。
だって分かっちゃったら面白くないでしょ」


そう言い切ってあごのヒゲを軽く撫でると、林田さんは腕時計に目を遣った。


「もう21時か。俺は3時間ほど仮眠してくる」



もうそんな時間だったのか。

そう思うと同時に、あたしもあくびをした。
急に眠気がこみ上げてきた。
ふぁ、と口に手を当てる。


「チア」


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