レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「じゃああれをコピって、持って帰って。秘密厳守ね」
「は、はぁ…」
「あとチア。お前、そのボサボサ髪短く切って黒に染めろ」
「え?そういう規則なんですか?」
これは雨に打たれたから…!
と、髪に手をやりながら答えようとしたけれど、
「全然似合ってないから」
という一言でばっさり切り捨てられた。
「おつかれーしょん」
林田さんはさらっとそう言うと、姿を消した。
黒い上着を羽織ったケイくんもすぐに続いた。
肌が白いから黒がよく映える。
「ケイくんも自宅に帰るの?」
「そう。今はマンションで一人暮らしなんだけど」
同じ一人暮らしでも、マンションという響きからして違う。
あたしなんてボロボロアパートだ。
ケイくんの作詞センスがあれば、あたしだって今頃はマンションに住めていたに違いない。
はぁとため息が漏れた。