レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
口を動かそうとしても言葉が出ないあたしを、しょーごさんがじっと見つめる。
そしてその唇が動いた。
「なるほどね」
「……へっ?」
「さすが社長。こいつの童顔には確かに、この髪型のがまだマシ」
まだマシ。
…かよ。
褒めてないじゃないか。
そう言いたかったけど、実はそんなの照れ隠しで。
――本当はめちゃくちゃドキドキして、心臓破裂直前だった。
どうしよう。
やっぱりめちゃくちゃ格好いい。
茶髪でピアスなんかしちゃってるのに、チャラい印象を打ち消すような美しい顔立ち。
鼻筋なんかこう、すっと通ってて…
顔が小さくて手足が長いし、とにかくスタイルがいい。
全身のバランスがいい。
仄かな香水の匂いさえする。
やっぱり、一般人じゃないんだなぁと思った。
遠い世界にいる人なんだ。
「んで」
放心するあたしから顔を上げて、しょーごさんが林田さんに目を遣った。
「新曲の編曲は終わったんだっけ」
「ああ。来週のMアワーで歌わなきゃならないからな」
ほれ、と林田さんがCDをしょーごさんに放った。