レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
その言葉を聞いて、腕組みしたしょーごさんの不機嫌さがますますヒートアップした。
美しい顔をしかめて、目がすっと細くなる。
なかなか怖い。
「本気だったのか、あの話」
「俺が冗談を言ったことがあるか?」
思わず肩を縮めたあたしに変わって、林田さんが煙草を吸いながら涼しい顔で言った。
「あんたの人生そのものが冗談みたいなもんだろうが」
「言うねぇ、毒舌悪ガキ」
しょーごさんの毒舌にもさらっと返せるのが凄い。
あわあわとするあたしの横で、パソコンを閉じたケイくんがソファーの真ん前にあるテレビを付けた。
チャンネルを操作すると、ぱっと画面が明るくなる。
「…あ」
その画面にはしょーごさんの、満面の笑顔が映っていた。
『…ですからねー。よく言われるんですよね、ギター馬鹿って。俺、火事が起きたときに真っ先に抱えて逃げるものって言ったら、通帳より何よりギターですもん』