レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
ケイくん独特の優しい歌詞を読んでると、自分がこんなふうに想われてるみたいできゅんきゅんする。
…なんかやっぱり、あたしとは、違う。
てか。
「あれ、歌詞が先なんですね」
「ん?」
「あ、いや、
あたしはいつもコードやメロディが先だったんです。曲を作るとき」
メロディを先に考える方が作りやすい、と誰かに聞いたことがあって。
それからずっとそうしてきた。
メロディを作ってからそれに歌詞を乗せてきた。
「あぁ」
ケイくんは柔らかく微笑んで、あたしに近づいてきた。
しょーごさんの香水の匂いとは違うけれど、柔軟剤のような、清潔な匂いがふわりと漂う。
白くて綺麗な指が、あたしから紙切れをそっと取った。
…さりげない仕草ひとつにも見とれてしまう。
ケイくんは紙切れを朝日の光にかざすようにして、透かしてみせた。
――ガラスのような綺麗な瞳が、光でさらに艶やかになる。
本当に、美少年だ。
…ごくっ、と喉が鳴りそうだった。