レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「僕には見えないけど」
ケイくんははにかむと、惚けているあたしに紙を返した。
ほんの少し手が触れるだけで、思わずどきんとする。
…なんだろう、この殺人的な美貌とオーラは。
「しょーごには見えるらしいよ」
「えっ、なにが?」
「メロディが。
…詞を読むと自然に、コードやメロディが見えてくるんだって」
ケイくんはうん、と体を伸ばしながら「すごいよね」と続けた。
「曲作りにルールはないけど、一般的にはチアちゃん派の人が多いと思うよ。先にメロディ作ってから、歌詞を乗っけていく。
でも、僕らは逆なんだよね。最初に話し合ったときしょーごが言ったんだ。
"ケイにはなんの制限なく、自由に歌詞を書いて欲しい。俺はそれに合ったメロディを必ず作れるから"って」
な…
なんて、自信に満ちた台詞。
そして…
――なんて、かっこいい台詞。
「あの人はね、本当に天才だよ。チアちゃんが一番よく知ってるだろうけど」