レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
サビの最後の部分だけを、目を閉じて爽やかに歌いきった。
そして再び目を開けて、華やかなプロモーションビデオを見つめる。
これなのだ。
あたしが欲しい世界は、これ。
だから大好きだけど小さな田舎町を抜け出してまで、こんな喧騒にまみれた大都会に来たの。
こうならなくちゃ意味がない。
いっそ出口に鍵をかけて
僕を永久に 閉じ込めて…
TVの中の端正な顔立ちが、挑戦的な眼差しでこっちを見たような気がした。
あたしは止めていた足をまた前に出すと、進行方向へと走っていった。