レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
ケイくんの言葉に、もう一度紙切れに目を落とした。
たった一枚の紙切れ。
整った字が書いてある。素敵な歌詞。
…でもあたしは、これを更に際立てる美しいメロディを作れる?
透かしてみたって、なにも見えない。
ただ、しょーごさんの不機嫌そうな顔が浮かんだ。
聞き心地のいい美声。天才的なギターソロ。誰もが覚えるメロディ。
「…神様って、不公平」
肩を落としたあたしに、ケイくんが「まぁまぁ」と言いかけた。
そのときだった。
「しょーごを迎えに行かなきゃ!忘れてたぁ!」
少し寝惚けたようなハスキーな声に、びくっとした。
聞き慣れない声。
ばっと振り向くと、そこには髪がぼさぼさの背の高い女の人が立っていた。