レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「やっば……地味…」
人ごみの中に簡単に消え入りそうな姿に、ぽかんとなる。
…あれ、あたし。
今更、自分の姿に気付いた?
もう一度じっと見て、苦笑い。
「…だめだ、こりゃ。なんか恥ずかし」
なんか、改めて見ると恥ずかしい。
今までやってきたことが走馬灯のように頭を駆け巡って、恥ずかしさで胸がいっぱいになる。
とりあえず、ショップを離れた。
ふらふらと近くの歩道橋の階段を上がっていく。
特に難しいことは何も考えてなかった。
ただ、なんか、あたし恥ずかしいなぁって。
もはや脳内はベースとは全く無縁だった。
――だけど。
何も考えてないときほど、人間は何かを発見することが多い。
「うたいまぁ~す。ほら、準備おっけ?」