レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
歩道橋を歩いていると、そんな気だるそうな声が聴こえた。
同時に、いきなりギターソロが始まる。
悪くない。
ただ、ヴォーカルのやたらねちっこい感じの声があまり好きじゃない。
しゃべり方だけじゃなくて、歌も気だるい感じ。
ちら、と目を遣った。
ばりばりの金髪にいくつものピアス、趣味の悪いシャツを着た、背の高いヴォーカル。
その横に、これまた派手な赤髪のギタリスト。
それだけを確認して、通り過ぎようとした、そのときだった。
~♪
ぴた、と足を止めた。
――なんだ、これは。
金髪と赤髪を振り返る。
彼らの奥から聴こえてきた、ベース。
――ベースの音が入った瞬間、
音楽がすうっと動き出したのだ。