レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
押しても押しても動かなかったものが、すうっと前に押し出された感じ。
あたしは自然と、そのバンドの前に立っていた。
そして、息を飲んだ。
金髪と赤髪の後ろに隠れるようにひっそりと立って、ベースを弾く"彼"。
すらっと背が高く、体は細いけど腕はしっかりとした肉付き。
手足が綺麗に長い。
少し赤みがかった茶髪が、端正な顔立ちによく似合っている。
無表情でベースを弾く指先の動きが色っぽい。
しょーごさんよりも落ち着いた感じの美形。
というか、色気がある。
なによりも…
「…すごい。」
ごくっ、と唾を飲み込んだ。
気だるい歌声も派手なギターも聞こえてこない。
…すごいものを、見つけてしまった。