レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
もうその瞬間には、ぴたっとパズルがはまったのだ。
未完成だったパズルの最後のピース。
「あ、ああああ、あのっっ!!」
声を振り絞る。
ヴォーカルが顔をしかめて、歌を止めた。
つられて、ギターとベースもストップ。
「んだよ、ねーちゃん」
迷惑そうに言ったヴォーカルに「す、すいませんっ!」と頭を下げた。
頭を下げたとき、ふと考えた。
…待って。
――これはその、どうやってスカウトすればいーの?!
顔を上げた。
「んだよ」
舌打ちする金髪と、目が合う。
赤髪も睨んでくる。
一番欲しい"彼"は無表情。
…とてもじゃないけど、スカウトしづらい。
「用がねーなら邪魔すんな。とっとと消えろ」
赤髪に怒鳴られる。
――あ、あなたたちに用はないんですけども…っ!
ごくり、と唾を飲み込む。
難関だ。
でも、逃すわけにはいかない。
…あたしは、プロなんだから。