鳥籠の中の少女
ベッドに顔を埋めていると、家のチャイムがなる。

誰か来た。

誰だろう?

今はお母さんがいないから私が出ないといけない。

私はそんな気分じゃないのに。

涙を無理矢理拭って鏡を見る。

ぽつりぽつりと零していたぐらいだったからか、涙を拭ってしまえば、泣いてた事は分からなかった。

自分の部屋を出て、階段を下りて玄関へ行く。

鍵を開けて、ドアを開ける。


「こんにちは。今日引っ越してきた樋渡です。お母さんいらっしゃる?」


今日転校してきた彼とそのお母さんがいた。


「まだ、仕事から帰ってきてません」

「そうですか。じゃ、これだけもらっておいてくれる」


そう言って渡されたのは紙袋。


「はい。分かりました」

「向かいの家に引っ越してきたので、これからよろしくね。あと、この子と同じクラスなのよね。仲良くして下さいね」



この子と言うのは彼の事。

仲良くするつもりもこれから関わるつもりだって毛頭も無い。


< 12 / 230 >

この作品をシェア

pagetop